「・・・ん」 右斜め上からキスが優しく落とされた。くすぐったくてあたしは思わず片目をつぶる。 「どうしたの」 「・・・・・・」 また少し場所を変えて、おでこに二回目、瞼に三回目。並んで座ってた縁側、腰に手が回されてる・・・いつのまに。 あ、わかった。前にもこんなことがあった。旦那が無言でこういうことをしてくるのは、恋しくてしょうがない時だわ。 「いつまでたっても子供ね」 四回目のキスは頬。さっきから思ってたけどこいつ唇荒れてるわ。痛い。 「いいんじゃねえか。大人になったって。例えば―」 腰に回されていた手がぐっとあたしを持ち上げた。一瞬体は宙に浮き、葉の膝の上に乗る形になる。つまりは、座った状態でのお姫様抱っこ。 「―こんなのも」 驚きを顔には出さないようにする。簡単にこいつの企みに乗ってなんかやらない。昔とは違うのよ。 「ほんと、子供・・・」 葉はいつものふにゃっとした表情で笑った。バカにされてんのに幸せいっぱい。どうしようもないわね。 ―訂正するわ。あたしも変わらないから、あんたも変わらないでいて。その笑顔は、あたしにとって最大級の安心と平和の象徴。見れなくなるなんて嫌だわ、やっぱり。 ガッシリと大きく骨張った手に、肩を支えられている。この体制から予想される、最後のキスの場所―。葉が目を閉じてゆっくり顔を近づけてきたから、あたしもすっと瞳を閉じた。 その一部始終を、後ろから真っ赤な顔した息子が口を開けて見ているとは露知らず。 「はっ花殿!よい子は見てはいかんでござるーー!!」 阿弥陀丸がヒトダマ剛速球で止めに入ったときは、もう遅かった。 -END- 初めて帰ってきた日に夫婦いちゃつくの図。自分の親が仲良くしてるのは恥ずかしいけど嬉しいもんですよね。 このお話はフリーです。2万HIT本当にありがとうございました! ―追記:厚かましいお知らせ― お持ち帰り方法はどんなものでも構いません。フリーなので。このページのURLをコピペしてリンクしていただくのが1番やりやすいかと(^^) <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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